山芋(じねんじょ)、長芋、れんこん、ヨモギ、海草(ふのり)、小麦粉等、地域によって、色々な材料を蕎麦のつなぎ として、使用しております。
たまご等を加え、麺につやを出す人も比較的に多いですが、短所もあります。
一般的には、小麦粉(中力粉をベース)を使用するケースが殆んどです。
その理由として、
1. 小麦の場合、成分の中にグルテンを持っており、このグルテンの特質を利用し蕎麦を繋ぎやすくする。 (グルテンとは、水を加え練りこむとチューインガム状の強い粘りを持ち、水にとけない特質があります。又、グルテンの含有率により、薄力粉、中力粉、強力粉に分類されてきます。)
2. 小麦粉の場合、性質が熱や酸化に強く劣化が遅く、消費量も多いため、大手製粉メーカーで大量に生産が出来、粉の状態でも、管理が良ければ一ヶ月から二ヶ月くらいは品質に問題がなく、安価で安定した調達が可能になる。
3. 小麦粉は、色合いも白く、味が比較的薄いため、蕎麦の特徴をあまり邪魔しない事から、他のつなぎに比べ、本来の蕎麦の味が楽しめる。但し、多く入れると食感がうどんに近くなってくる。
つなぎに何を加えるかには、正式な決まりや規制はなく、地域の蕎麦文化や個人の好みによる判断が大切で、蕎麦粉と同様、多種多様の変化をしてきます。
又、蕎麦の種類や挽き方、季節等に合わせて、つなぎの割合等を多少変化させる事は、大切な事と思われます。
小麦粉の配分を例えて考えた場合
一般的に、スーパー等で販売されている蕎麦は、多少の違いもありますが、小麦の割合が65%程度と言われております。蕎麦と言うより、うどんかそうめんに近いものです。
乾麺の蕎麦も同様かそれ以上と考えております。乾麺の場合は、魚で言うと干物です。
当然、小麦が多く含まれている分、グルテンが多いので、じっくりと熱を加え、茹でないとグルテンがベーター化しないので、生に近い場合、消化器官の弱い子供ですと、腹をこわす恐れがあります。
一般的なうどん・蕎麦屋では、三割から四割くらいの割合で小麦粉を入れるところが多いようです。
良心的な蕎麦屋でも、三割くらいまで混入する時があると思われます。
師匠が言う蕎麦は、最低二割りまで、それ以上小麦を加えたら蕎麦の良さがなくなると言っており、湯がきのポイントや湯がき時間に、大きく影響してきます。
その他のつなぎの割合等は、あまり実績がなく、責任のある教え方ができません。
じねんじょの場合、水分量や粘りの違いがあり、芋に蕎麦粉を加えて行くため、一般的な練りこみと違った難しさがあります。
温かい蕎麦の場合
つなぎの割合は多くし、太い打ちに仕上げた方が良いと思いますが、二割以上のつなぎを加えると蕎麦のもっちり感が消え、 うどんの弾力感が出てくると思います。
水とお湯の使い分け
良質の蕎麦粉(さらしな粉を除く)の場合、基本的には、水で十分繋がりますが、乾燥ぎみの粉やでんぷん質の強い蕎麦粉(甘皮のところが挽けず篩い取られた粉、 荒引き荒目篩いの粉等)の場合、お湯練りによるでんぷん質の凝固を試み、つなげた方が良い場合もあります。
但し、蕎麦の風味が落ちる等の短所があります。
冷水に比べ、水温が15度、20度、30度と温度が上昇すれば加水率が少なくなってきますが、水温が45度、50度、60度と上がった場合、水自体の蒸発が増えはじめる事から、加水率が増加してきます。
又、お湯が100グラム必要な場合、水温にもよりますが約1.5倍の水を目安に計量し、蓋つきの鍋ややかんで沸かした方が、良いと思われます。
お湯つなぎの難しさ、生地の温度が下がるまでは、水分が蒸発し乾きやすくので、その事を十分考慮して、各工程を推測し作業しないと良い結果が得られません。