自家製粉を行うにあたり、北海道・関東・北陸を中心に色々な製粉所の製粉工場の見学をさせていただきましたが、 選別や脱皮工程をせず挽き割り工程からはじまる製粉所もあれば、脱皮率の向上に高価な色選別機を導入し、一番粉においては粉の白さを白度計で抜き打ち検査している製粉所もありました。
 共通して言える事は、それぞれ各社が粉に対する確固たる目標を持ち、石臼の材質、大きさ、目のたて方、目の深さ、回転数、篩の細かさ、 材料管理等に膨大なノウハウと人材・自信を持ち、特徴ある独自の粉を製粉していた点で、その考え方や蕎麦粉の違いに驚きを感じました。
 製粉所には、顧客である蕎麦店の要望に対応した蕎麦粉を伝統的に種々製粉しており、蕎麦屋は、その地域の一般顧客の要望に応じ、 その地の蕎麦切りに適した蕎麦粉を必要としており、当店でも必要とする粉、使って見たい粉、個人的に興味のある粉、全く興味のない粉等、粉によって様々な評価があり、同じ粉でも他店と違った判断評価になることは当然の事と思います。
 また、一番粉、二番粉等は、安易な自家精製・製粉設備では到底太刀打ちできない蕎麦粉であり、中・小規模店では内製化は極めて難しく、製粉所より購入しなければならない状況です。
 国内で栽培されている一般普通種と言われる蕎麦にも色々な品種があり、その地で収穫される蕎麦に適した製粉方法があり、 その地に根付いた蕎麦切りの打ち方・つなぎ・味等が入手し易い材料により色々な特徴を形成し、その土地独特の食べ方まで発展してきたものと考えております。

和蕎麦 粒が小さいため、でんぷん質が少なく、タンパク質の割合が多くなる。
長所 香り、色目が強く出る。又、微細製粉した場合は、こしが強く出る。
短所 甘味が少なくなる。又、精選段階で粒揃えの細分化が必要になって
来るため、現状では、脱皮の割合が低下を解消出来ず、かち割後に、
荒挽き製粉する方法が主流。
殆どが、田舎蕎麦の材料として使用されている。

洋蕎麦
長所 甘味が強く、食感と喉越しが上がりやすい。又、精選段階でのロスが
少なく、丸抜きの歩留まりが向上し、一番粉、ニ番粉等の粉の取り
分けがし易い。
短所 香り、色目が薄くなる。


蕎麦粉の種類

(基本的に、玄蕎麦を精選し、抜き実にしてから挽き分けている。)
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一番粉 内層粉 更科(さらしな)粉
二番粉 中層粉 打ち粉・花粉
三番粉 表層粉
末 粉(すそこ)
全層粉 挽きぐるみ

でんぷんが主体で、色が白く、独特の甘味が有る。
でんぷん質とタンパク質 甘味と香りが有る。
でんぷん質、タンパク質、繊維質、香りが高い。
細挽きされ乾麺等に使用されることもある。
挽きぐるみ 田舎蕎麦等


タンパク価が72〜76と非常に良質の水に溶けやすい植物性タンパク質を約12%程含んでいる。
 でんぷん質は65〜70%、植物繊維5%、脂質・灰分4.5%、他は糖質等。
 ビタミンA・Cは、殆ど含まれていないが、ビタミンB関係やルチン(ビタミンP)が、多く含まれており、疲労回復や血管の働きの安定強化に良い。


全 層 粉
田舎蕎麦(挽きぐるみ) かち割 石臼挽き 荒挽き 荒篩 太めど田舎蕎麦
      中挽き 中篩 中太ど田舎蕎麦
      細挽き 細篩 細めど田舎蕎麦
ブレンド(挽きぐるみ)   石臼挽き 荒挽き 荒篩 太め田舎蕎麦
      中挽き 中篩 中太田舎蕎麦
      細挽き 細篩 細め田舎蕎麦
丸抜き(挽きぐるみ)   石臼挽き 中挽き 中篩 中太蕎麦
      細挽き 細篩 細め蕎麦

丸抜きからの取り分け
一番粉 内層粉 かち割 篩 更科粉   更科蕎麦、変わり蕎麦
二番粉 中層粉 かち割 篩 打ち粉    
三番粉 表層粉   石臼挽き 中挽き 混合 各種蕎麦
        細挽き 混合 各種蕎麦
末 粉(すそこ) 乾麺等に使用される。